この宇宙がビッグバン以来、膨張を続けているというのが最新の宇宙理論で考えられていることですが、重力波と電波観測の組み合わせで膨張速度(ハッブル定数)を求めることができることを実証した論文が発表されました。
論文を発表したのはプリンストン大学の仏坂(ほとけさか)健太氏らによる研究チームで、2019年7月8日にNature Astronomyから発表されました。
論文によると、新しく考案された方法では、ハッブル定数は70.3キロメートル/秒/Mpcと求められました。
「Mpc」はメガパーセクと呼び、距離を表す単位で、1pc(パーセク)が約3.26光年ですので、Mpcは326万光年になります。
これは326万光年あたり、毎秒70.3キロメートル膨張しているということです。
今回の研究に用いられたのは2017年8月17日に観測された「GW170817」という重力波です。
重力波の信号の形状から本来の明るさがわかり、地球で観測した時の明るさを用いると波源からの距離がわかり、その結果をハッブル定数の計算に用いたようです。
その他にも重力波の強さを正確に測定するために様々な電波望遠鏡の観測結果も用いているようですので、詳しくはリンク先を確認してみてください。
今回発表された方法は誤差が大きいようですが、新しい測定方法が加えられたことで、より正確な膨張速度が今後求められることを期待しましょう。
過去記事
宇宙の膨張速度の最新測定結果が公表!宇宙理論はどうなる? | Space News Lab
参考
ハッブル定数を求める手段として新たに「重力波」を使った測定方法が登場 | sorae:宇宙へのポータルサイト
New Method May Resolve Difficulty in Measuring Universe’s Expansion
Wrote: わたなべ