ブラックホールの周りを秒速8000kmで周回する恒星を発見!

 天の川銀河の中心部の「いて座A*(エースター)」と呼ばれる超大質量ブラックホールの周りを秒速8000kmの速度で周回している恒星を発見したとの論文が、2022年7月5日に『The Astrophysical Journal』に掲載されました。

 天の川銀河の中心部には超大質量ブラックホール「いて座A*」があり、その周囲には星が密集してできた「星団」が存在し、明るさや質量の異なる恒星が100個以上集まっています。この星団の中で最も有名な恒星の一つに「S2」があります。ただ、「S2」があることでブラックホールの中心部が見えにくくなっており、ブラックホール中心部を観測するのが困難になっていました。

 今回発表された論文では、過去20年以上のデータを分析し、S2以外の恒星の動きを観察しました。その結果、いて座A*から100AU(1AUは太陽と地球の距離)の距離を約4年で周回し、移動速度が秒速8000kmに達する「S4716」を発見しました。太陽系では冥王星の軌道半径が約40AUで公転周期が248年であることと比較すると、異常なほど高速で周回していることがわかります。

 論文を発表した研究チームは、星はブラックホールの近くでそれほど簡単に形成することはできないと述べています。そのため、S4716のブラックホールに近い軌道を安定して周回する短周期でコンパクトな軌道は非常に不可解であり、その軌道の起源を明らかにしていくとのことです。

 このようなニュースを聞くと私たちの住む宇宙はどのようにして出来上がったのか、まだ解明されていない謎があることがわかりますね。今後の研究によって、謎の一部でも解明されていくことを期待しています。

参考

秒速8千km! 天の川銀河中心ブラックホールを4年で周回する「スピードスター」を発見!



https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ac752f


Wrote: わたなべ