北海道の上ノ国町が人工衛星のデータをAIで分析して、水道管の漏水箇所を発見する調査を、イスラエルの「Utilis(ユーティリス)」社に委託して行うと2022年7月3日に報道されました。ユーティリス社による調査は2021年に愛知県豊田市が国内で初めて実施し、従来の手法と比較して調査期間が大幅に短縮されたことで、全国から注目を集めています。
ユーティリス社は、2013年に創業し、人工衛星から地表に放射した電磁波の反射率を解析して地上や地中に含まれる特定の物質の量を割り出し水道水と地下水を区別する技術と、土壌や人口などのデータをAIで分析する手法を組み合わせた漏水検知システムを提供しています。水道水は酸と反応して塩をつくる塩基が少ないため地下水と区別が可能とのこと。漏水検知システムは2016年の商用化以降、60カ国・430件以上のプロジェクトに採用されています。
ユーティリス社による調査は、国内では愛知県豊田市が初めて実施し、通常5年かかる調査を7ヶ月に短縮しました。従来は聴診器で地中の音を探って漏水しているかを調べる音聴調査をしらみつぶしに実施していたのを、ユーティリス社の漏水検知システムで漏水の可能性が高い地域を特定し、その地域を音調査することで、作業の効率化に繋げています。
ユーティリス社の漏水検知システムで漏水の可能性があるとされた地域のうち7割は問題なかったとの報道もあり、精度はそれほど高くはないようです。ただ、AIを使用している限り100%の精度というのも難しいため、あらかじめリスクの高い地域を選出することで、作業が効率化させるのは良い狙いですね。人工衛星のデータが漏水検知に役立てられているのを初めて知りましたが、この事例の他にもリモートセンシングが私たちの生活に役立てられる範囲はもっとあるのではないでしょうか。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5365491667406e3f3c09ff6a9d3576f7378b9058
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/701084
https://asterra.japan21.co.jp/
Wrote: わたなべ