宇宙飛行士の骨密度は地球帰還後1年でも回復しない?

 国際宇宙ステーション(ISS)に滞在した宇宙飛行士17人の骨量に関する研究が行われ、地球へ帰還後1年経過しても脛骨の骨密度が十分に回復しないケースもあることが判明したとの論文が2022年6月30日に「scientific reports」に掲載されました。

 宇宙空間では、重力による負荷が小さく骨への荷重負荷がかからないため、骨粗鬆症患者の約10倍の速さで骨量が減少することが知られています。その予防のため、ISSに滞在する宇宙飛行士は毎日2時間の運動をおこなっています。

 今回発表された研究では、ISSに長期滞在した宇宙飛行士の脛骨(膝から足首の間太い骨)と橈骨(前腕にある2本の長い骨の親指側の骨)を宇宙飛行前と地球帰還後6ヶ月と12ヶ月にデータの測定を行いました。その結果、6か月以上ISSに滞在した宇宙飛行士は、骨の回復が大幅に低下し、地球帰還後1年経過しても、骨密度が十分回復しないケースもあることが分かりました。また論文ではISS滞在中ににデッドリフトの回数の多かった宇宙飛行士は、脛骨の骨塩密度が回復していることも判明しました。論文では、ジャンプ運動などの衝撃の強い運動を行うことが、宇宙飛行ミッションで骨減少を予防し、骨形成を促進するために役立つ可能性があるとの考えを示しています。

 宇宙に長期間滞在すると、骨や筋肉が弱っていくため、毎日トレーニング必要なことは知られていますが、将来、宇宙旅行が一般的になった場合、宇宙に滞在中は毎日トレーニングをし続けるのは現実的ではないように思います。今後このようなトレーニングが不要になるようなソリューションが開発されることを期待したいと思います。

参考

https://jp.reuters.com/article/space-exploration-astronauts-idJPKBN2OF04K



https://www.natureasia.com/ja-jp/research/highlight/14127



https://www.nature.com/articles/s41598-022-13461-1


Wrote: わたなべ