パーサヴィアランス火星着陸から1年

 2021年2月19日に火星に着陸したNASAの火星探査車「Perseverance(パーサヴィアランス)」が着陸から1年を迎えます。パーサヴィアランスは着陸したジェゼロ・クレーターの中で生命の痕跡がないかを調べるため、岩石を掘削しサンプルを容器に入れ地表に置きながら移動しています。火星ヘリコプター「インジェニュイティ」は順調に飛行時間を伸ばしていて、18回の飛行で合計30分ほどの飛行時間だそうです。パーサヴィアランスの行き先を空から見極めるといった事も今後できるのではないでしょうか。

 さて、パーサヴィアランスの採取したサンプルはどうするのでしょうか?その答えが見えて来ました。NASAは現地時間2月8日サンプルを地球に運ぶための方法の一つである火星からの打ち上げをロッキード・マーティンの宇宙部門ロッキード・マーティン・スペースにて契約を締結し火星版ロケット「MAV(Mars Ascent Vehicle)」の開発製造が行われることとなったそうです。計画されているMAVは全長2.8mの2段式ロケットでかなり小型なロケットです。これは人類史上初めての他惑星からのロケット打ち上げと言う歴史に名を残すプロジェクトとなります。

 ただロケットだけでは意味がありません。地表に置かれたサンプルの容器をそのロケットが着陸したポイントまで回収し運んで来る必要があります。MAVには「サンプル回収と打ち上げ」と言う2段階のミッションが与えられています。MAVは着陸機「Sample Retrieval Lander」(サンプル回収ランダー)に搭載され2028年火星に着陸する予定です。着陸機にはESA(欧州宇宙機関)が開発するサンプル回収用の探査車「Sample Fetch Rover」(サンプル回収ローバー)が搭載されていて、これが地表に置かれたサンプルを回収にまわってMAVへと積み込みます。また、パーサヴィアランスがサンプル回収容器の追加補充を着陸機で行うことも検討されているそうです。MAVにて打ち上げれたサンプルは軌道上で待つESAの帰還用宇宙機がキャッチし地球へ帰って来ます。

 まだまだ時間はかかりますが火星からのサンプルリターンが成功し地球に帰ってくるのが楽しみですね。

参考URL

NASA「火星から打ち上げる小型ロケット」の製造契約をロッキード・マーティンと締結


Wrote: 寺地