土星の衛星ミマスの内部に液体の海がある

 土星の衛星ミマスといえばその見た目から映画「スター・ウォーズ」シリーズの「デス・スター」を思い起こす巨大なクレーターが印象的です。ミマスの大きさは直径約400km、土星を公転する周期は約22時間40分です。巨大なクレーター「ハーシェル」は直径が130kmもあり星の3分1ほどもあります。

 このミマスという衛星は外殻が氷と少量の岩石で覆われています。土星とその衛星を観測していた土星探査機「カッシーニ」がミッション終盤でミマスの周期的な振動運動を観測したことから外殻の氷の下に液体の海がある可能性が示唆されていました。

 しかし、これまで内部に海が存在すると思われる星は外殻から間欠泉が噴出するなど何らかの活発な動きが見られることがわかっています。それに比べミマスは不活発でありそのようなものは見られていません。その事から内部に海があることは懐疑的でした。

 ところが今回サウスウエスト研究所(SwRI)のAlyssa Rhoden氏と惑星科学研究所(PSI)のMatthew Walker氏がミマスの外殻の下に液体の海がある可能性を示した研究成果を発表しました。

 ミマスは表面にハーシェルをはじめ多くのクレーターが見られます。その事からも地質学的に不活発であり凍りついた天体だと思われていました。研究チームはその事から内部に海が存在しないという証明をしようと内部の潮汐加熱モデルを使い分析を行っていたそうです。すると結果はミマスの表面から24~31km下に液体の海がある可能性を見つけることになったのです。ミマスの内部海が存在する証拠を得ることになったというRhoden氏は「私たちはミマスの表面にだまされていたのです」と語ります。

 不活発な天体の内部海があるとするなら、これまでに見つかった天体の中でも内部海があり何らかの生命がいると言う可能性が出てくるのかもしれません。新たな可能性を踏まえた観測により新発見を期待したいですね。

参考URL

デス・スターに似た土星の衛星「ミマス」氷の下に内部海が存在する?


Wrote: 寺地