太陽探査機パーカー・ソーラー・プローブが太陽の大気に突入

 2018年8月にデルタⅣヘビーによって打ち上げられた太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」は、太陽探査に向けて現在も飛行を続けています。

 NASAは2021年12月15日パーカー・ソーラー・プローブが太陽の大気の上層に突入していたことを発表しました。突入したのは2021年4月28日の8回目の近日点到達のタイミングです。太陽の大気は、いわゆるコロナと呼ばれているところでプラズマが100万度と言う超高温になっている場所です。コロナの中のプラズマは太陽の重力と磁場によって保持されています。大気層であるコロナは表面から2000kmほどです。太陽から遠ざかると重力と磁場が弱まり、高温による圧力から外側にプラズマが流出していきます。これが太陽風と呼ばれるもので秒速400kmから800kmと言う速さで飛び出していきます。このコロナと太陽風の境界をアルヴェーン境界面と言い、この境界を越えて探査機がコロナに突入したことが探査機からのデータでわかったそうです。また、パーカー・ソーラー・プローブはコロナに入ったり出たりを何度か繰り返しています。その事からアルヴェーン臨界面には凹凸があることがわかりました。

 まだ8回目の近日点到達ですが、探査機がいよいよ太陽の大気に触れるところまで近づいてきました。まだまだ太陽到達までには時間がかかりますが少しづつ色々な太陽の姿を届けてくれると思います。そして2024年から始まる本格的な太陽の接近探査ももちろん期待したいです。

 余談ではありますが2017年までソーラー・プローブ・プラスと呼ばれていた探査機ですが同年5月に宇宙物理学者ユージン・ニューマン・パーカーを称えてパーカー・ソーラー・プローブに改称されたそうです。パーカー博士はアメリカ合衆国の宇宙物理学者・太陽物理学者です。1958 年に太陽風の存在を理論的に予言したことで有名で、他にも現在の太陽物理学者の土台となる様々な理論的アイデアを創出した方です。

< em> 参考URL

Sorae

人類史上初「太陽の大気」に突入! NASA探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」


< em>

ユージン・ニューマン・パーカー博士
https://bit.ly/3K98ZKt


Wrote: 寺地