2021年の宇宙開発振り返り

 2021年は民間企業による有人宇宙飛行が多く行われた年でした。スペースXのクルー・ドラゴンは宇宙飛行士だけでなく民間人のみの宇宙旅行を実現。ブルー・オリジンのニューシェパードは数分間の無重力飛行ではありますが3回も打ち上げを行いました。また、航空機発射型の宇宙船ヴァージン・ギャラクティックのスペース・シップツーによる有人宇宙飛行も成功しました。

 日本の民間企業インターステラテクノロジズ社はmomo7号機「ネジのロケット」、momo6号機「TENGAロケット」の打ち上げを立て続けに成功させました。衛星打ち上げ能力のあるZEROの開発に向けて着実に進んでいます。

 NASAの2021年は、まず火星に無人探査車パーサヴィアランスを着陸させ火星探査を開始し、火星のサンプル採取に成功しました。またパーサヴィアランスに搭載された小型の回転翼機「インジェニュティ」の火星での飛行にも成功し他惑星での動力飛行に史上初めて成功させました。NASAの新型ロケット「スペースローンチシステム」の地上での最後のエンジン燃焼テストが行われ無事完了し、現在組み立て棟で打ち上げを待っています。小惑星探査機「OSIRIS-REx(オシリス・レックス)」は小惑星ベンヌでのサンプル採取を成功させ今は地球への帰還コースを飛行しています。

 国際宇宙ステーションでは最新のモジュールナウカやプリチャルなどドッキングしました。また、太陽電池パネルの新設も行われています。宇宙ステーションには日本人宇宙飛行士の野口聡一氏と星出彰彦氏が同時に滞在する期間がありました。星出彰彦飛行士は4月から11月まで滞在しミッションを終え地球に帰還しました。そして12月には民間人である前澤友作さんと平野陽三さんがロシアのソユーズから打ち上げられ宇宙ステーションに行きました。半年間の訓練を経ての挑戦で見事成功し12日間滞在し地球に無事帰ってきました。

 宇宙ステーションと言えば中国が独自の宇宙ステーションを開発しています。4月にはコアモジュールが打ち上げられ、現在は宇宙飛行士が滞在するまでになっています。中国の宇宙技術が高いことがわかります。また、中国は5月に火星探査車の火星着陸に成功し惑星探査の分野でも高い技術があることが示されました。

 日本はどうでしょうか?JAXAの2021年は次期主力ロケットH3がお目見えしました。まだ試験の段階ですが発射場への移動も行われ打ち上げ楽しみです。また、H-ⅡAの打ち上げも44号機、45号機と行われ、先日の45号機では商業打ち上げとしてイギリスの民間企業で移動体衛星通信サービス大手インマルサット社の衛星を打ち上げることができました。また、小型ロケット「イプシロン」5号機も打ち上げられ成功しました。

 2021年最後を締め括る12月25日にハッブル宇宙望遠鏡の後継機、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げがあり、無事成功しました。開発費1兆円越えと言う大型プロジェクトで、開発期間も大幅に予定を越えようやく完成した望遠鏡です。ファーストスターと呼ばれるビッグバン直後の天体を捉えるため開発されました。観測開始は半年後ですが期待が高まります。

 さて、来年はいよいよ月への計画が始まります。アメリカの大型ロケットスペースローンチシステムの打ち上げがあったり、スペースX社の大型ロケットスターシップも打ち上がると思います。どちらも全長100m越えのロケットです。スターシップはすでに何機も作られており、テスト飛行を控えています。どちらのロケットも月だけでなく将来は火星への飛行にも使われます。月では月軌道ステーションの建設や月への着陸、基地の建設など期待が高まる計画が数多くあります。来年以降ですが順調に進んで欲しい事業です。

 2021年を振り帰り、そして2022年の期待も持ちながら今回はこれで終わります。また2022年も投稿が続きますのでよろしくお願いします。良いお年を。