ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡いよいよ打ち上げ

 ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として開発されたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡がようやく打ち上げられます。2003年の時点で計画では2010年にハッブル宇宙望遠鏡が運用終了するので2011年には打ち上げる予定だったそうです。しかし、開発が遅れに遅れ何度も打ち上げ予定を変更することになりました。NASA内部からも計画中止の声が上がるくらいだったようです。

 しかし、いよいよ完成し打ち上げの時が来ました。打ち上げにはフランス領南米ギアナ宇宙センターからアリアン5ロケットにより行われます。打ち上げは、日本時間12月25日21時20分の予定です。

 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡はどのような望遠鏡かここでもう一度おさらいしておきましょう。

 宇宙望遠鏡の名称は、NASAの第2代長官ジェイムズ・E・ウェッブにちなんで名付けられました。ウェッブ氏は1961年から1968年にかけてNASAの長官を務め、後のアポロ計画の基礎を築くなどアメリカの宇宙開発を主導した方です。望遠鏡の名称は、かつては「次世代宇宙望遠鏡」(NGST / Next Generation Space Telescope)と呼ばれていましたが、2002年に改名されました。

 ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(以下「JWST」)の主な任務は、宇宙誕生ビッグバンの約2億年後以降に輝き始めたとされるファーストスターを初観測することです。ファーストスターからの光は赤方偏移により波長が引き延ばされ赤外線に変化すると考えられており、赤外線域で捜索・観測することによって、ファーストスターを発見することが期待されています。

 JWSTの主鏡は6角形の鏡が集まった構造になっています。これは展開した状態では大きすぎてフェアリングに搭載できないため一部主鏡を折り畳んで搭載するため考えられたものです。主鏡が展開したときの大きさは6.5mとハッブル宇宙望遠鏡の口径2.4mに比べて大きいです。その他に、搭載する高解像度の赤外線画像センサーと分光器による系外惑星の観測についても、新たな知見が得られるのではないかと期待されています。

 宇宙望遠鏡の運用は、欧州宇宙機関ESAとNASAが共同で行う計画です。打ち上げ後JWSTは、太陽 – 地球のラグランジュ点の1つ(L2)に置かれることになっています。JWSTは、ハッブル宇宙望遠鏡のように地球の周回軌道を飛行するのではなく、地球から見て太陽とは反対側150万kmの位置の空間に漂わせるように飛行する事になります。精密な観測を追及するほど、太陽から発せられる光や電磁波、あるいは自身の機体から発せられる赤外線すらもノイズになるため機体を極低温に冷却し運用されます。太陽や地球から発せらる光を遮るためJWSTは折畳まれたサンシールドが搭載されています。L2点においては、地球と太陽が望遠鏡の視界の中で常に同じ相対的位置を占めるため、頻繁に位置修正しなくともサンシールドが確実に機能します。サンシールドは、展開すると約21m×14mにもなります。

 なお、JWSTは打ち上げから1か月ほどかけてL2点へ移動しつつ主鏡やサンシールドなどを順次展開していきます。機器の冷却や較正などを終えて観測が始まるのは打ち上げの6か月後になる見込みです。

 ハッブル宇宙望遠鏡は地表から約600kmという比較的低い軌道上を飛行しています。このため、光学機器にトラブルが発生してもスペースシャトルで現地へ行って修理することが可能でした。これに対し、JWSTは地球から150万kmもの遠距離に置かれます。万が一トラブルが発生してもハッブル宇宙望遠鏡のように修理人員を派遣することは事実上不可能です。なので運用期間中トラブルなく見事にミッションを遂行しファーストスターの観測を始めこれまで見えなかった新たな発見を期待したいですね。

参考URL

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%96%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1


Wrote: 寺地