NASAは木星のトロヤ群へ向けて小惑星探査機「ルーシー」を打ち上げます。アメリカ東部時間2021 年10月16日午前5時34分打ち上げ予定で、打ち上げ後2027年に木星前方のトロヤ群L4 に到着します。
ルーシーはトロヤ群へ向かう途中で2025年に小惑星帯にある直径4kmのC型小惑星「ドナルドヨハンソン」に接近しフライバイを行います。C型小惑星は炭素系の物質を主成分とした小惑星です。2027年トロヤ群に着いたルーシーは8月に直径64kmのC型小惑星「エウリュバテス」に接近フライバイを行います。エウリュバテスと言う小惑星は2000km離れたところに直径1km程の大きさの衛星を有しているそうです。
次に2027年9月に直径21kmのP型小惑星(赤みがかった電磁スペクトルの小惑星、ケイ酸塩、炭素、無水ケイ酸塩で構成されています)「ポリメレ」をフライバイ、2028年4月には直径34kmのD型小惑星「リュークス」に接近します。リュークスは自転速度が遅いと言う特徴があります。自転周期は466時間だそうです。D型のDは「Dark」で暗い星です。2028年11月に直径51kmのD型小惑星「オラス」に接近フライバイを行います。
オラスのフライバイの後ルーシーは重力アシストのため地球近傍に一旦戻り次は木星の後ろ側L5のトロヤ群へ向かいます。2033年3月にL5のトロヤ群のP型二重小惑星「パトロクロス」と「メノイティオス」を探査します。これでミッションは終了となります。
小惑星探査機「ルーシー」は、1974年に発掘された318万年前のアウストラロピテクスの骨格に付けられた名前でビートルズの「Lucy in the Sky with Diamonds 」と言う曲に因んでつけられた名前です。ルーシーの探査ミッションに使われるミッションマークにはビートルズの曲に因んでダイヤモンドの形が使われています。
小惑星「ドナルドヨハンソン」はルーシーの化石を発見したアメリカの古人類学者ドナルド・ヨハンソン氏に因んで2015年にこの小惑星に名付けられたそうです。ルーシーはトロヤ群での観測の前に機器のテストとして小惑星ドナルドヨハンソンでの観測を実施するそうです。
木星トロヤ群での小惑星探査は2017年にNASAのディスカバリー計画(低コストで太陽系内を探査する)に選定され実施されるものです。トロヤ群の小惑星は木星誕生より古いと考えられ太陽系誕生の解明につながると期待されています。長いミッションではありますが成果に期待したいです。
ルーシー(Wikipedia)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BC_(%E6%8E%A2%E6%9F%BB%E6%A9%9F)
Wrote: 寺地