JAXAがデトネーションエンジンの観測ロケット打ち上げ

 JAXAは観測ロケット「S-520-31号機」を2021年7月21日に鹿児島県の内之浦宇宙観測所にて打ち上げました。打ち上げ後約4分後に最高高度235kmに達し、打ち上げから8分後に海上に着水しミッション成功となりました。

 打ち上げられたS-520-31号機と言うロケットは深宇宙探査用デトネーションエンジンシステムの実証実験を目的としたものでした。

 デトネーションエンジンとはどんなエンジンでしょうか?デトネーション(detonation)とは、日本語で爆轟と言い、火炎の伝播速度が音速を超える爆発的な燃焼現象であり、衝撃波と燃焼の相互作用によって爆轟の伝播速度は秒速2~3kmにも達するそうです。デトネーションエンジンは従来のロケットに使われるエンジンに比べて構造が単純で熱効率が高いのがメリットだと言います。デトネーションエンジンが実用化されればエンジンの小型化や軽量化、高性能化につながるため各国で研究が行われています。

 今回打ち上げたS-520-31号機のデトネーションエンジンシステムは、JAXA宇宙科学研究所と名古屋大学未来材料・システム研究所、名古屋大学大学院工学研究科、慶應義塾大学、室蘭工業大学の研究グループが共同で開発したそうです。

 S-520-31号機には、回転デトネーションエンジンとパルスデトネーションエンジンという2つのデトネーションエンジンから構成される「デトネーションエンジンシステム」が搭載されていました。打ち上げ後に第1段から分離されたデトネーションエンジンシステムは、宇宙空間において回転デトネーションエンジンを6秒間、パルスデトネーションエンジンを2秒間×3回、いずれも正常に作動させることに成功していて、宇宙空間におけるデトネーションエンジンの実証実験成功は世界初となるそうです。

 今回の打ち上げ成功により、名古屋大学未来材料・システム研究所は航空宇宙機のエンジンやシステムに変革をもたらすきっかけになり、また今後は実際に搭載され使われていくことが期待できると言います。

 デトネーションエンジンを採用することでロケットや宇宙機のエンジン小型ができればより多くの観測機器を搭載したり他のペイロードを増やしたりすることができるので期待したいです。

参考URL

JAXA・名大など開発の「デトネーションエンジン」宇宙空間での実証実験に成功


Wrote: 寺地