打ち上げに向けて準備が進むジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡

まだ打ち上げ日の発表はされていませんが2021年後半に打ち上げが予定されている新型の宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡」についてお届けします。

ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope)はNASAの二代目長官ジェイムズ・E・ウェップ氏にちなんで付けられた名前です。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として開発が始まりましたが当初は2011年に打ち上げられる予定でした。その後の度重なる打ち上げ延期の発表でコストが増大し計画中止の声も上がっていたそうです。そうした紆余曲折を経てようやく2021年に打ち上げが行われます。

さて、ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡は口径6.5mの主鏡によって、優れた感度と空間分解能で赤外線を観測する望遠鏡です。ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡が狙うのは138億年前に起こったビッグバン直後に誕生したファーストスター、銀河の形成や宇宙の再電離の解明などが期待されています。

誕生初期の宇宙を捉えるにはエネルギーの小さい赤外線を捉える必要があります。そのために主鏡を-220℃に冷却する必要があるそうです。冷却のためと地球や太陽からの赤外線を遮断するためジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡は地球から150万km離れたラグランジュ2に投入され観測を行います。ハッブル宇宙望遠鏡は高度600kmと割と近くにいたため故障した際には宇宙飛行士による修理もできましたがジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡の150万km先となるとなかなか故障しても修理に行くのは難しくなるかと思います。

打ち上げは欧州宇宙機関のアリアン5ロケットで行います。アメリカから出荷され射場であるフランス領ギアナの宇宙港まで船による移送、その後ロケットへの搭載などを考えると11月中旬頃になるのではと言われています。なおアリアン5ロケットは7月から8月にかけて本番打ち上げの前に2度の打ち上げを行う予定だそうです。これは2020年8月のフェアリングの不具合が発覚してから一度も打ち上げを実施していないためだそうです。

ジェイムズ・ウェップ宇宙望遠鏡が無事に打ち上げられて運用されることに期待したいですね。

ー引用ー
光は自由電子によって散乱させられてしまうためにこのような状態では真っ直ぐに進むことができません。
しかし、宇宙が膨張を続け、温度が下がったことで原子核と電子が結合し、光は自由電子に邪魔されることなく、真っ直ぐに遠くまで進むことができるようになりました。これを宇宙の晴れ上がりといいます。ビッグバンから約38万年後のことだと考えられています。
この頃、宇宙には、まだ恒星などはなく、この後しばらく暗黒時代が続きますが、ファーストスターの登場によって、この暗黒時代も終わりをむかえます。
ファーストスターは、太陽質量の40倍ほどの質量があり、強烈な紫外線を放っていました。そのため、この強烈な紫外線によって、中性水素ガス(電離していない水素ガスのこと)が再び電離しました。これが宇宙の再電離です。ビッグバンから2~5億年ほどで始まり、ビッグバンから9億年ほどで完了したと考えられています。
ー引用終わりー

参考URL

NASAの次世代ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、初期宇宙の謎に挑む!


Wrote: 寺地