NASAのジェット推進研究所は、エウロパ探査機「エウロパ・クリッパー」を2024年に打ち上げる予定です。木星の衛星エウロパは、表面が深さ数kmの氷で覆われた星で、氷の下には約100kmの液体の水があると言われています。その水の中にはなんらかの生き物がいるのではと期待されています。
探査機エウロパ・クリッパーのミッションはエウロパの組成や全球のマッピング、大気のサンプリングなどです。こうした観測データをもとに内部の液体の海の様子を調べていきます。
エウロパは、太陽からかなり離れていて表面は分厚い氷に閉ざされています。そのような環境でもし生き物が存在するとしたらそのエネルギー源は何なのかと言う疑問が湧きます。その答えとして海底火山がエネルギー源として考えられると言います。エウロパの海底では地球の海底と同じように火山活動によって温められた高温の水が吹き出す熱水噴出孔がありそれをエネルギー源として生態系を支えているのではないかと思われます。
そして、もしもエウロパで火山活動が起こっているとしたら、それを引き起こしているのは潮汐加熱による可能性があります。潮汐加熱は木星の重力がもたらす潮汐力によってエウロパ内部に変形が生じ加熱される現象です。エウロパ内部で起きている潮汐加熱をコンピュータによる3次元数値モデルを使用し分析した結果、数十億年にわたって火山活動が起こっていたことがわかったそうです。火山活動が長期間継続していたとすると生命誕生に適した環境が長い期間維持されていたと言うことになるので今でも何らかの痕跡を見つけることができるかもしれません。
エウロパ・クリッパーは2030年頃木星に到着し観測を開始します。エウロパには45回接近し観測を行います。エウロパに最も接近するときには高度25kmまで近づき観測を行うそうです。エウロパ・クリッパーによる観測で様々なデータが集まってくると思います。期待したいですね。
Wrote: 寺地