海王星の暗斑は1989年5月にボイジャー2号の観測で捉えられました。その時は大暗斑と呼ばれました。(大)暗斑は海王星の大気の成分が薄い場所だと考えられています。ボイジャー2号はフライバイの際に大暗斑を調査していて風速は2400km/hもあり、海王星で最も早い風が観測されました。
2020年1月ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた海王星には幅およそ7400kmの暗斑が写っています。
これまでにもハッブル宇宙望遠鏡は海王星の暗斑を捉えていました。高気圧の渦である海王星の暗斑は中緯度で形成された後に赤道へ向かって移動していきます。暗斑はコリオリの力の作用で回転しつつ安定していますが、赤道へ近づくにつれてコリオリ力が弱まるためにやがて崩れて消滅してしまうそうです。
ところが、今回ハッブル宇宙望遠鏡が捉えたのは、赤道へ向かって南下していた暗斑ですが、別の場所にうっすらと新たな暗斑が出現しました。元の暗斑が消滅するのだと思われたのですが新たにできた暗斑が数ヶ月後に消滅してしまい、元の暗斑は何故か北の方向に反転しUターンする様に北上を始めたそうです。
これまで考えられていなかった動きなので驚きの現象です。海王星で何が起きているのか今のところわかりません。暗斑の周囲はメタンの氷の結晶でできた白い雲が捉えられています。この雲の動きが暗斑に影響を及ぼしているのかもしれません。今後の観測で新たな発見があるかもと期待します。
https://sorae.info/astronomy/20201228-great-dark-spot.html
Wrote: 寺地