火星にあった水は何故なくなってしまったのか?

かつて火星の表面には液体の水があり、気候は温暖で厚い大気もあったと考えられています。しかし、今はありません。水は地下に氷となって固まってしまっています。何故なのでしょうか?

 アリゾナ大学の月惑星研究所大学院生シェーン・W・ストーンさんらの研究グループは火星表面の液体の水が失われていったシナリオを発表しました。

 これまで火星の大気中の水蒸気は太陽光線によって酸素分子と水素分子に分かれ水蒸気を通さないはずの冷たい空気の層を通過し、さらにイオンによって酸素や水素は分子から原子に分解され、宇宙空間に飛んで行ったと考えられていたそうです。

 研究グループが発表したシナリオは、NASAの火星探査機MAVENの観測データを分析し、冷たい空気の層の上で水蒸気がイオンによって水素原子と酸素原子に一気に分解されるというものです。そして、火星で起きる砂嵐によってこのプロセスは激しさを増します。砂嵐が発生すると気温が上昇し、急激に水蒸気が発生するので、より早く水蒸気が分解され、次々と宇宙空間へ飛び去ったと言うのです。

 研究グループは太古の火星でいつからこのようなことが起こったのか、さらなる研究を進めていくそうです。

 ところで火星では11月9日頃より砂嵐が起こっているようです。砂嵐は地球から見ると雲のように見えるので黄雲と呼ばれこともあるそうです。今発生している黄雲は火星全体までは成長しないと思われますが目が離せません。

 火星は探査や近い将来有人計画によって色々謎が解明されていくと思いますが研究者たちが常に新たな発見をもたらしてくれ、それも楽しみですね。

参考URL

https://sorae.info/astronomy/20201118-mars-maven.html


Wrote: 寺地