宇宙の膨張速度はハッブル定数で表されますが、その求め方に様々な手法が提案されており、また新たな測定方法が発表されました。その方法は、「重力レンズ」を使用する方法です。ドイツのマックスプランク天体物理研究所の科学者らの論文がアメリカのサイエンス紙の9月13日号に発表されました。
当ブログでも過去にも、天体の明るさ、宇宙マイクロ波背景放射、重力波に続く第4の測定方法として、ヘリウムフラッシュを起こした赤色巨星の明るさを用いる方法を紹介しました。さらに、新しい手法が考案されたことになります。
「重力レンズ」とは、恒星や銀河などが発する光が途中にある銀河等の天体の重力によって曲げられる現象のことです。
新たな手法では、重力レンズによる、光の曲がりかたから、途中にある銀河の質量が推定でき、質量がわかることによって、距離を推定します。さらに銀河の中の星の位置と速度を分析し、質量と組み合わせることで、銀河の直径を推定することができます。それと、地球から見える銀河の直径と比較することによって、銀河までの距離を求めます。
その距離と、銀河が離れていく見かけ上の速度を比較して膨張速度を算出した結果は「82.4 ㎞/s/Mpc」となったと発表されました。この値は近年発表された値の中では、もっとも大きい値となっています。この値は当然誤差を含んでいるとのこと。
またまた、新しいハッブル定数が提案されましたが、一体どの値が正確な値に近いのでしょうかね。今後の研究の発展が期待されます。
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過去記事
宇宙の膨張速度を測る第4のハッブル定数 | Space News Lab
参考
宇宙膨張、新手法で計算 従来の想定より速く | 共同通信
https://this.kiji.is/544940893082813537?c=39546741839462401
赤色巨星が導く銀河の距離。第四の測定方法でハッブル定数の新しい値が登場 | sorae 宇宙へのポータルサイト
Wrote: わたなべ