宇宙空間は138億年前のビッグバン以来膨張を続けています。
宇宙の膨張速度はハッブル定数によって求められます。
しかし、ハッブル定数を求める方法には天体の明るさ、宇宙マイクロ波背景放射、重力波を利用する3つの方法があり、そしてそれぞれの方法で求めた結果がバラバラです。
そして、なんとハッブル定数を求める方法に第4の方法が加わりました。NASAが発表した、シカゴ大学研究チームのハッブル定数を求める方法は、ヘリウムフラッシュを起こした赤色巨星の明るさを利用して距離を測ると言うものです。
太陽ほどの重さの恒星は、内部中心核では水素同士は核融合してヘリウムが作られています。中心部分の水素が無くなると星全体の水素を核融合し始めます。自重で収縮する力と表面の核融合による膨張、これにより表面温度が下がりながら星の明るさが増す赤色巨星という状態になります。
やがて中心部分のヘリウムは圧力が高まり今度はヘリウムの核融合が始まります。ヘリウムは核融合を始めるとヘリウムフラッシュと言う暴走を起こします。この状態は温度が1億度に上昇するまで続きます。
今回の発表はヘリウムフラッシュの赤色巨星を利用した測定方法です。赤色巨星の明るさを調べ、その赤色巨星がある銀河までの距離を割り出します。その距離と、銀河が離れていく見かけ上の速度を比較して膨張速度を算出するそうです。結果は「69.8㎞/s/Mpc」だそうです。この結果は重力波を使った測定方法と近いのですがまだまだハッブル定数については議論が続きそうです。
NASAが2020年に打ち上げる広視野赤外線サーベイ望遠鏡での観測でさらなる赤色巨星の観測が行われるのでハッブル定数に関するなんらかの進展が見られるのではと期待されています。
参考URL
赤色巨星が導く銀河の距離。第四の測定方法でハッブル定数の新しい値が登場 | sorae:宇宙へのポータルサイト
Wrote: 寺地