2019年5月14日付けのアメリカ物理学会が発行するPhysical Review Letters誌の電子版に、東北大学学際科学フロンティア研究所の當真(とうま)賢二准教授らのダークマターの正体候補であるアクシオンの探査方法に関する論文が発表されました。
アクシオンとはひも理論から存在が予言されている未発見の素粒子です。その質量は電子の1億分の1以下と言われ、非常に軽いと考えられています。近年ダークマターの正体候補に挙げあられており、世界中の研究グループが探査を行なっていますが、いまだ発見されていません。
これまでの研究から、アクシオンは光の偏光方向を回転させる特性を持つと予想されており、今回発表された論文では、偏光方向がわかっている天体からの光を観測し、予想される光の偏光方向とは違った光が観測されれば、その天体と地球との間にアクシオン(であるダークマター)が存在することを発見できるという方法が発表されました。
原始惑星系円盤と呼ばれる誕生したばかりの恒星の周りには、ガスや塵からなる円盤が存在し、この天体が放射する光は同心円の偏光を持つことがわかっています。
論文では、すばる望遠鏡で取得したデータからは偏光パターンを見つけられなかったものの、今後、原始惑星系円盤の偏光を観測することでアクシオンを発見する可能性があるとしています。
また新たな、ダークマターの発見方法が提案されました。いろいろな発見方法が提案されているにも関わらず、いまだ正体がわからないダークマターは、なんて恥ずかしがり屋なんでしょう!今後の研究によって、早期にダークマターの正体が明らかになることを期待しています。
※偏光:振動する方向が規則性を持った光のこと
過去記事
ダークマターは「共鳴」する?最新理論が興味深い! | Space News Lab
ダークマターの新たな発見手法 誕生直後の恒星取り巻く塵に着目 東北大など | 財経新聞
https://www.zaikei.co.jp/article/20190605/514306.html
Wrote: わたなべ