ダークマターは「共鳴」する?最新理論が興味深い!

2019年2月22日発行のアメリカ物理学会が発行するPhysical Review Letters誌に 、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の村山斉研究員らのダークマターの特性についての最新論文が掲載されました。
宇宙にある物質の80%以上を構成するダークマター(質量を持つが光では直接観測できない物質)は重力とのみ相互作用をすると考えられていることから、銀河の中心部に密集するものと想像できます。
しかし、実は観測結果から、矮小楕円銀河と呼ばれる小さくて暗い銀河では、理論から期待されるほど中心に密集していないことがわかっています。

今回発表された論文では、通常ダークマター同士は相互作用しない(ぶつからない)のに対し、ある特定の速度ではダークマターが「共鳴」すると考えると、相互作用を起こしやすくなり(ぶつかって散乱しやすくなり)、その結果として中心部に密集しなくなり、観測結果を説明できると言うものです。
詳しい説明についてはこちらのリンク先にある東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の解説をご覧になってください。



ダークマターは打てば響く?! -共鳴現象が解き明かす銀河のダークマター分布の謎- | Kavli IPMU-カブリ数物連携宇宙研究機構
https://www.ipmu.jp/ja/20190227-DM_hittingNote

今回の理論の正しさを確認するためには、観測データが必要になりますが、その観測についても準備が進んでいます。
ハワイ島マウナケア山のすばる望遠鏡に搭載するため製作が進んでいる超広視野多天体分光器 PFS (Prime Focus Spectrograph) は矮小銀河における何千もの星の運動を観測できることから、将来今回の理論が正しいことを証明できる観測データが得られるかもしれません。

参考


PHYSICAL REVIEW LETTERS 122, 071103 (2019)
https://journals.aps.org/prl/pdf/10.1103/PhysRevLett.122.071103



新理論、ダークマターは軽くて散乱する – アストロアーツ
https://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/10509_darkmatter

Wrote: わたなべ