2019年4月1日発行の英国の科学雑誌「ネイチャー・アストロノミー」に、東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構の高田昌広主任研究者らの研究グループのすばる望遠鏡の観測によるダークマター(暗黒物質)の正体候補の研究結果が発表されました。その研究結果によると、ダークマターの正体候補がひとつ姿を消し、未知の素粒子がその正体である可能性が高くなるようです。
ダークマターの正体の候補のひとつとして、宇宙初期に形成された「原始ブラックホール」があります。遠くにあるアンドロメダ銀河と我々地球の間にこの原始ブラックホールがあれば「マイクロレンズ現象」と呼ばれる現象が頻繁に発生するはずと考えられていましたが、すばる望遠鏡の観測結果では、ほとんどこの現象が発生していないことがわかりました。
「マイクロレンズ現象」とは、恒星や銀河などが発する光が途中にある天体等の重力によって曲げられる「重力レンズ」の一種ですが、重力による影響が弱いため、光の明るさの時間変化のみが観測されるものです。
この研究成果によって、原始ブラックホールがダークマターの正体である可能性は低くなりましたが、まだ正体が特定された訳ではありません。今後の研究によって、早期にダークマターの正体が明らかになることを期待しましょう!
参考
https://www.nao.ac.jp/news/science/2019/20190402-subaru.html
ダークマターは原始ブラックホールではなかった!? | 国立天文台(NAOJ)
重力レンズ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/重力レンズ
Wrote: わたなべ