ドイツ・ボン大学の天体物理学者が「ダークマターは存在しないと主張する理由」について解説している記事が、2022年7月12日に発表されました。記事によると、ダークマターが存在するならば、チャンドラセカールの力学的摩擦の効果によって、宇宙空間を移動する銀河はダークマターによって減速するはずだが、そのような観測結果が確認されたことはないとのこと。
宇宙論の主流の仮説では宇宙全体の物質エネルギーのうち、約70％がダークエネルギー、約25％がダークマター、残りの5％が原子などと考えられています。ダークマターは、光を透過し、光を吸収も反射もせず、電荷を持たず、重さを持ち、安定して重力とのみ相互作用をすると考えられています。ダークマターの重力により、銀河が形成されていると考えられています。
インドの宇宙天文学者のチャンドラセカールが1943 年に、比較的低質量の粒子の背景を通過する巨大な天体が減速することを示しました。これはチャンドラセカールの力学的摩擦として知られています。このチャンドラセカールの力学的摩擦を遠方の銀河にダークマターが存在すると仮定して計算したところ、予測される減速が確認できなかったとのこと。つまりダークマターがないかのように銀河が振る舞っていたということです。
ダークマターは存在しないとの記事が発表されました。過去にも当ブログではダークマターの存在が確認できなかった銀河の観測結果についての研究成果や遠方銀河周辺のダークマターを観測したとの研究成果を伝えており、今回の発表からダークマターは存在しないとは言い切れないと考えています。とはいえ、今回お伝えした記事のように議論を呼ぶような記事が発表されると、詳しい人と議論を交わしたくなってきますね。
https://gigazine.net/news/20220825-dark-matter-doesnt-exist/
https://iai.tv/articles/dark-matter-doesnt-exist-auid-2180
Wrote: わたなべ