天王星や海王星は水、メタン、アンモニアなどを多く含むため、現在は「巨大氷惑星」と分類されています。その内部は高温・高圧になっており、液体の 「海」を形成しています。この海でメタンは分解されて、ダイヤモンドの結晶になると考えられています。そのダイヤモンドは大きくなると沈んでいくため、その様子は「ダイヤモンドの雨」と呼ばれています。
今回PET樹脂の薄膜にX線レーザーを照射することで、瞬間的に高温・高圧の状況を作り出すことで、惑星内部の環境を再現する実験を行なった論文が発表されました。PET樹脂は化学組成的には水とメタンが混ざり合った巨大氷惑星の内部環境によく似ているとみなすことができるようです。短時間のX線照射を連続して照射する実験を行った結果、肉眼では見えない粒子状のナノダイヤモンドが生成される過程の観察に成功しました。
実験の結果、酸素が炭素と水素の分裂を加速しダイヤモンドの生成を助けることが判明しました。これは巨大氷惑星の内部では、ダイヤモンドの雨が降っているとの考えの裏付けにつながると考えられています。さらに今回の実験から、ナノダイヤモンドの新たな製造方法につながる可能性も考えられています。
巨大氷惑星の内部を再現する実験から、PET樹脂からダイヤモンドを作ることができることがわかりました。また、宇宙に無数にある巨大氷惑星の内部でダイヤモンドの雨が降っている可能性が高いことがわかりました。今回の実験から、新しいダイヤモンド生成方法の確立につながるとしたら、面白い成果ですね。
https://www.afpbb.com/articles/-/3422116
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.abo0617
https://www.hzdr.de/db/Cms?pOid=67015&pNid=99
Wrote: わたなべ