アメリカのジョージア工科大学の研究チームは湾曲した空間では、推進剤などは使用しなくても、物体の変形だけで移動が可能であることをロボットを使用した実験で実証したとの論文を2022年7月28日に発表しました。
2003年に発表された論文で、重力によって曲がった時空では物体の形状変化だけで反作用なしに移動できるという理論が発表されていましたが、約20年実証されずにいました。今回発表された論文では、歪んだ空間を再現するための装置を開発し、実証実験を行いました。
上の動画に実験の様子が撮影されています。装置は球面に沿って交差する弓状のアームの上をモーターで移動するロボットで構成されています。このロボットが移動することで変形(=能動的質点移動)を行います。動画を確認してもらうとわかりますが、アームの上をロボットが移動を繰り返すと徐々に、アームの位置が回転して、移動していくのがわかります。
この実験により、空間の歪みを利用することで、推進剤を利用せず、つまり作用反作用に依存せずに物体が移動することが確認できたということです。研究チームらによると、この移動原理を利用することでブラックホール近くの空間の歪みが大きい場所で推進剤を使用しなくても移動可能な宇宙船を開発できるとのこと。
今回発表された論文のように過去に理論で提唱されていても、実証されていなかった理論について、実証して効果を確かめるという研究はとても面白いですね。今回紹介した研究が今後の宇宙船開発に活かされる日はくるのでしょうか。
https://nazology.net/archives/113479
https://www.sciencealert.com/robot-shows-its-possible-to-swim-through-the-emptiness-of-a-curved-universe
https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2200924119
Wrote: わたなべ