地球に接近する小惑星の自転周期に上限がある?

 東京大などの研究チームは、地球に接近する直径100メートル以下の小惑星60天体を動画撮影し、32天体の自転周期の推定に成功しました。その結果、微小小惑星の自転周期には約10秒の上限が存在することを発見したとの論文を2022年7月13日「日本天文学会欧文研究報告」に掲載されたと発表しました。

 観測に用いられたのは東大木曽観測所の口径105センチの望遠鏡と超広視野動画カメラ「トモエゴゼン」で、毎秒2フレームの動画撮影が行われました。小惑星の多くは球形では無いため、自転により太陽光を反射する面積が変化するのと同期して明るさが変動し、その明るさの時間変化をとらえることで小惑星の自転周期の推定を行いました。

 小惑星などの小さな天体は、ヨープ効果と呼ばれる太陽からの光や熱を反射する際に生じる微小な力によって、長い時間をかけて自転速度が変わる現象が知られています。このヨープ効果を考慮すると直径10m以下の小さな天体は自転周期が10秒以下になると予想されていましたが、10秒以下の自転周期の小惑星は1天体しか発見できませんでした。研究チームは自転周期約10秒が上限となっている原因として、小惑星の表面に沿う方向の熱伝導率を考慮したヨープ効果(接線ヨープ効果)で説明できるとしています。

 小惑星の探索といえば、はやぶさ2などのように探査機で近づいて探査することが話題になりますが、地球上の望遠鏡からでも新しい発見はまだまだ出てきそうですね。

参考

https://www.jiji.com/jc/article?k=2022071300126&g=soc



https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2022/7975/


Wrote: わたなべ