古代都市が隕石のエアバーストにより消滅か

 紀元前1650年頃中東で栄えていた「トール・エル・ハマム」という都市は隕石が空中で爆発したことによるエアバーストと言う現象で滅びたとされる発表がありました。この爆発は広島に投下された原爆のおよそ1000倍にも及ぶ規模だったそうです。

 今回のトール・エル・ハマムを発掘調査したには、ベリータス・インターナショナル大学考古学部とトリニティ・サウスウエスト大学の考古学部、ヨルダンのハシュミット考古学局の共同研究チームです。
 トール・エル・ハマムという都市は、死海の北東、ヨルダン渓谷南部の高台にあり紀元前4700年から消滅した紀元前1650年頃まで3000年間もあったとされエルサレムの10倍の広さがありかなり栄えていた都市だったと思われます。

 発掘調査では当時4階建てだったと思われる破壊された宮殿を調べたところ戦争や地震などで破壊された様なパターンが見られたもののその破片には溶けて泡立った煉瓦や高温に晒され溶けてガラス状になった陶器の破片などが見つかり、当時の技術では実現不可能な2000度以上の高温に晒された可能性が示されました。この事から戦争や地震による物ではないということが分かりました。また、周辺の地層1.5mの調査では陶器や煉瓦、炭化した木材、穀物や骨など様々な物が混ざった状態で出てきたそうです。そして、こうした地層からは衝撃石英、球状粒子、ダイヤモンドライクカーボンなどが見つかりました。衝撃石英は強い衝撃を受けたために亀裂が生じた石英、球状粒子は高温にさらされて溶融・蒸発した岩石が冷えてできたガラス状の粒子、ダイヤモンドライクカーボンは炭素を含む植物や炭酸塩岩が高温・高圧にさらされて熱分解した後に形成されたとみられる物質でこれらはいずれも天体衝突が起きたことを示す証拠とみなされているそうです。

 では、トール・エル・ハマムにはどのような隕石が来たのでしょうか?隕石の直径はおよそ50mだったと思われ、トール・エル・ハマムから南西に数km離れた場所でエアバーストが起き高温の熱放射が都市を襲い煉瓦や陶器が溶け、その後に高温で高速な爆風が都市を破壊したのではないかとみられています。

 このトール・エル・ハマムに関しては、旧約聖書の創世記に記されている破壊された都市ソドムとの関連が指摘されているそうです。今後の調査によって裏付けられる日が来るのか気になります。
 

参考URL

古代中東の都市が「ツングースカ大爆発」のような天体衝突で破壊されていた可能性が高まる


Wrote: 寺地