オシリス・レックスが最後の観測ミッション終了

 NASAのサンプルリターンミッションである探査機OSIRIS-REx(オシリス・レックス)による小惑星ベンヌからのサンプル採取が成功を収めいよいよベンヌを離れる日が近づいています。

 探査機オシリス・レックスが小惑星ベンヌにタッチダウンしたのは、2020年10月でした。無事目標の量のサンプル採取に成功しました。その後もオシリス・レックスは小惑星ベンヌを観測しながら帰還の時を待っています。

 オシリス・レックスはサンプル採取のタッチダウンを行なって以降、ベンヌからゆっくりと遠ざかっていて、最大で約2200kmまで離れていましたが、2021年4月7日に探査の締めくくりとなる、ベンヌへの最後のフライバイ(接近飛行)が実施されました。

 最後のフライバイはサンプル採取以降では最もベンヌに接近、ベンヌの表面に約3.5kmまで近づきながら、小惑星の自転周期(約4.3時間)よりも長い5.9時間かけて表面の撮像が行われました。このフライバイによる撮影は当初計画になかったそうです。

 計画になかった最後のフライバイが追加された理由は、2020年10月のタッチダウンによって、サンプル採取地点「ナイチンゲール」の周辺の表面などにどのような変化が生じたのかを調べるためだそうです。

 サンプルを採取した際に、探査機のサンプル採取装置「TAGSAM」(Touch-And-Go Sample Acquisition Mechanism) の採取ヘッドは、小惑星の表面下深さ50cmほどまで入り込むと同時に窒素ガスを噴射し、さらに、採取を終えた探査機が上昇する際のエンジン噴射でも、岩石や塵といった大量の表面物質が巻き上げられました。運用チームでは、こうした作用によってベンヌの表面に何か変化が起きていないかを探るのが目的です。「サンプル採取によって掘り起こされた物質の分布を調べることで、表面や表面下の物質の特徴や力学的な性質を知ることができるでしょう」とオシリス・レックス主任研究員 Dante Laurettaさんは仰っています。

 オシリス・レックスはこの後、5月10日にエンジンを噴射し小惑星ベンヌを離れます。そして、2年に及ぶ地球帰還の旅が始まります。ベンヌのサンプルが届くのは2023年9月24日の予定です。長い旅ですが地球に帰還するが楽しみですね。

参考URL

http://www.astroarts.co.jp/article/hl/a/11944_osirisrex


Wrote: 寺地