こぎつね座の領域に存在する「こぎつね座CK星」は1670年と言う古い文献から確認できる突発天体だと言います。文献に残る最も古い新星の発見です。発見したのは、フランスの修道士で天文学者だったヴォワチュール・アンテルムで、はくちょう座の頭付近に新星が出現しているのを発見したそうです。発見後一旦見えなくなったものの1671年、1672年にも出現したり見えなくなったりを繰り返していたそうです。そしてこの新星は他の天文学者であるポーランドのヨハネス・へベリウスやイタリアのジョバンニ・カッシーニも観測していたそうです。
1687年にへベリウスは「こぎつねとがちょう座」を設定し、その後、1928年国際天文学連盟が88星座を定めた際にこぎつね座が定めてから「こぎつね座CK星」と呼ばれるようになったそうです。1672年以降観測された形跡がないこぎつね座CK星ですが、1982年に再発見されたそうです。その時この星は双極性星雲ではないかと言われていました。
2015年にこぎつね座CK星の観測がアルマ望遠鏡などで行われました。そして、こぎつね座CK星は、砂時計型に星雲が広がっていることや通常の新星ではなく天体同士の衝突によって起きる「光輝度赤色新星」と呼ばれる星だとわかりました。
さらに2018年のアルマ望遠鏡でのミリ波干渉計での観測ではアルミニウムの同位体が確認された事で天体の衝突によって内部の重元素が撒き散らされているのでは思われています。この観測により2018年こぎつね座CK星は白色矮星と褐色矮星の衝突による星だという発表もされているそうです。
また、ハワイのジェミニ北望遠鏡を使った観測では、こぎつね座CK星の星雲が膨張する速度が調べられ、ガスが時速700万kmと言う高速で動いている事がわかりました。そのデータを元にすると、こぎつね座CK星の距離は従来2000光年と思われていたが恐らく1万光年であろうと発表されています。
新星として発見されたこぎつね座CK星ですが350年たった今も1670年に観測された当時の現象がなんなのか説明するのは困難だと言われています。まだ解明されていない天体の現象があるのかもしれません。今後の観測によって新たな解釈が出てくるものと期待したいですね。
https://sorae.info/astronomy/20201127-nova.html
Wrote: 寺地