イギリスのオックスフォード大学の天体物理学者であるジェイミー・ファーンズ博士が、「暗黒物質(ダークマター)」と「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」は「暗黒流体(ダークフルイド)」の一部であるとの論文を発表しました。
現在の宇宙論では、宇宙に存在するものの5%しか人類は観測できておらず、残りの95%は「暗黒物質(ダークマター)」が約27%と「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」が約68%とで構成されていると説明されています。
「暗黒物質(ダークマター)」とは、質量はあるが、光と相互作用しないと考えられている仮説上の物質で、「暗黒エネルギー(ダークエネルギー)」とは、宇宙を膨張させる特性を持つと考えられている仮説上のエネルギーのことです。
今回新しく発表された論文では、この「暗黒物質」と「暗黒エネルギー」は「負の質量(※)」を持つ「暗黒流体(ダークフルイド)」を考えることによって統合できるというものです。さらに、この「暗黒流体」が連続的に作り出されていると考えることで、今まで提唱されてきた宇宙論と観測されている宇宙の矛盾を説明できるというものです。
新しい論文では、アインシュタインの一般相対性理論を、負の質量が存在するだけでなく、連続的に生み出されるという修正を加えることで、今までの理論が導くよりも速く回転していると観測されている銀河の回転速度を説明できることをシミュレーションで示しました。
暗黒物質や暗黒エネルギーが実際に存在しているのかは、未だわかっていませんが、これまでの物理学の研究では、仮説上の素粒子が実際に発見されてきた歴史があります。この研究は南アフリカとオーストラリアに分散して作られているスクエア・キロメートル・アレイ(Square Kilometer Array(SKA))と呼ばれる電波望遠鏡で正しさを証明することが計画されています。
今後研究が進めば、この暗黒流体の存在が確かめられると思うとワクワクしますね。今後の研究に期待です!
※私たちの身の回りにある通常の(正の質量を持つ)物質は、力が加えられた方向に対して動き(加速し)ますが、「負の質量」を持つと、力が加えられた方向とは反対の方向に対して動く性質を持ちます。
スクエア・キロメートル・アレイ – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/スクエア・キロメートル・アレイ
Wrote: わたなべ