KAGRA一般公開に参加しました

11月17日(土)岐阜県飛騨市にある大型低温重力波望遠鏡の一般公開に参加しました。
参加するには抽選で当たらなければなりませんでした。おまけに一般公開は今回で最後と言われていたので結構厳しいかなと思っていましたが当選しました。

大型低温重力波望遠鏡とはどんなものでしょうか。宇宙では時に大規模な天体イベントが起こります。
例えばブラックホール同士の合体や中性子星同士の合体など、このような大質量の天体衝突やビッグバンでも観測可能な重力波が発生したと思われています。
こうした重力波を捉えるのが重力波望遠鏡です。

重力波は、アルバート・アインシュタイン博士が最後に残した宿題と言われています。これまでは重力波を観測する術がなく、重力波の存在が判りませんでした。
2015年にアメリカの重力波望遠鏡が初めて観測に成功し重力波の存在が確かめられました。アインシュタイン博士の出した宿題についに答えることができたのです。
重力波を捉えたことにより、新たに重力波天文学と言う分野がスタートしました。今後はアメリカやヨーロッパの重力波望遠鏡と連携し、より明瞭に重力波を捉えられるようになります。
来年から本格運用が始まるKAGRAですがどのような新発見をもたらすのか期待です。

さて、今回見学したKAGRAですが、まず重力波の検出方法はX軸とY軸の一片は3kmに及ぶ真空のアームにレーザーを発射し鏡で反射させます。
レーザーは1000回アームの中を行き来し、最終的に光検出器に入り、その時のレーザーの速度差で重力波の存在を検出します。
重力波による長さの変化量は太陽から地球までの距離で水素原子1つ分だそうです。
その重力波を検出するKAGRAは、現在すでに0.0000000000000000001メートルの差を検出できるそうです。

今回見学できたのは光検出器のところとXアームの一部でした。光検出器では研究員の方が説明してくれました。
レーザーを発射するレーザールームから順番に機器を入れて行って、今はほとんどの作業を終え光検出器のところに最後の鏡を取り付ける作業を行なっている所だそうです。
KAGRAのレーザーを反射する鏡は熱による振動を無くすためー250℃に冷やされ、地上の振動を伝えないため天井から吊るされています。
反射鏡は鏡と言いながら透明で見た目が分厚いガラスのようでした。可視光は通すが赤外線だけ反射する鏡だそうです。

そして歩いて移動してXアームへ。作業員の方の話を聞いたり、写真を撮ったり。
3㎞あるレーザーが通るアーム部分は掘削に1年10ヶ月かかりました。全行程7700メートルの掘削作業だったそうです。
掘削中に出水がありなかなか大変な作業だったと言う話でした。間近で真っ直ぐ伸びるXアームを見ると本当にすごい技術だと感動しました。なかなか入れない施設の見学だったので大変貴重な経験が出来ました。とても良かったです。

KAGRAは来年から運用が始まると研究員ですらなかに立ち入ることはできないそうです。人が歩く振動で雑音が入るためだそうです。
なので今回が最後の一般公開だと言われているのだとか。
しかし、運用が始まった後も機器のアップデートがあり運転をとめている時に見学できるチャンスがあるかもしれません。

興味がある方はその時にぜひ行って見てください。



大型低温重力波望遠鏡 | KAGRA

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光検出器のエリアにある機器類
Xアーム。3㎞先まで一直線です。
反射鏡のサンプル。ガラスの様ですが鏡です。

Wrote: 寺地