以前に本ブログでも記事にした中国の通信中継用の人工衛星「鵲橋(じゃっきょう)」が目標軌道に到達したと報じられています。
今日は紹介記事で使われている「ラグランジュ点」と「ハロー軌道」について簡単な解説をしたいと思います。
本ブログの読者なら「ラグランジュ点」と言う単語を聞いたことはあると思います。ある天体Aと、Aのまわりを公転している天体Bに対して、A、Bよりもずっと質量の小さい物体Cが、AとBの重力によってAまたはBに落下することなく安定して留まっていられる位置が「ラグランジュ点」です。
このような特性を持つ位置のため、SF作品でスペースコロニーが設置される場所として登場することが多いのです。
「ラグランジュ点」は全部で5個あり、L1〜L5と表されます。
今回「鵲橋(じゃっきょう)」が到達したL2の位置は、地球と月を結ぶ直線上にあり、地球からみて月の裏側にあるラグランジュ点になります。
ところで、「ハロー軌道」という単語を聞いたことがある人は少ないのではないでしょうか。この「ハロー軌道」とは、ラグランジュ点近傍を周回する複雑な軌道のことです。L2近傍のハロー軌道は月の縁より外側を回るため、地球からも常に観測可能であり、「鵲橋」の目的である月の裏側と地球との通信の中継に適した軌道と言えます。
今回の軌道到達成功により、今年末に予定されている「嫦娥(じょうが)4号」での月面の裏側探査が前進しました。中国の宇宙開発力はどんどん力をつけており、今年末に計画されている打ち上げも今から楽しみですね。
中国「鵲橋」L2周回軌道に到達 月面裏探査を中継へ | sorae:宇宙(そら)へのポータルサイト
ラグランジュ点 | ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/ウィキペディア
ハロー軌道 | ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハロー軌道
中国、月の裏側に通信衛星を打ち上げ – 年末には探査機も着陸 | マイナビニュース
https://news.mynavi.jp/article/20180601-639992/
過去記事
中国 月探査用の通信中継衛星の打ち上げに成功 | Space News Lab
Wrote: わたなべ