米国のロスアラモス研究所は2022年6月16日、未確認の素粒子である「ステライルニュートリノ」の証拠かもしれないという実験結果を発表しました。
ステライル ニュートリノ(sterile neutrino) とは、重力のみと相互作用をすると勘がられている仮説上のニュートリノのことです。通常のニュートリノは弱い力と重力と相互作用をするのに対し、ステライルニュートリノは重力のみと相互作用をすると考えられています。また、ダークマターの正体の候補の一つでもあります。1990年代のロスアラモス研究所のLSND(Liquid Scintillator Neutrino Detector)実験の結果が、既知の3つのニュートリノのモデルとは食い違う結果となったため、存在が提唱されるようになりました。
今回発表された研究結果では、ステライルニュートリノの存在を示唆していますが、新しい粒子の発見とするには、まだ精度が足りないと判断され、その確証には至りませんでした。
ステライルニュートリノはロスアラモス研究所以外に、日本の茨城県東海村にある大強度陽子加速装置「J-PARC」でも検出実験が予定されています。ステライルニュートリノが発見されたら、素粒子の標準モデルが大きく変わることになるほどの発見と言われているので、今後の研究に注目ですね。
https://discover.lanl.gov/news/0616-best-experiment-results
ステライルニュートリノ
https://journals.aps.org/prl/abstract/10.1103/PhysRevLett.128.232501
Wrote: わたなべ